絵を描いたり、デザイン制作をする上で欠かせないのが色彩の知識。
実際にクリエイティブなお仕事をしている方でも、感覚の良さから何となく扱えてしまって、実は詳しくは分からない。。。といった場合も多い気がします。
実は私自身もそうで、中学校の美術の講師をしていた時に色彩の単元があり、
授業準備をする中で
「なるほど!そういうことだったのか!」
と霧が晴れたような気分になりました。
その時の経験を元に、当記事をまとめてみます。
当記事では、vol.1でご紹介した色の三要素を元に、色による寒暖のイメージについて詳しく解説していきます。
色の感情
色を見た時、例えば「涼しげだな」「派手だな」といった印象や感情を生じることがありますよね。これはそれぞれの色単体のこともあれば、組み合わせによって感じることもあると思います。見る人や文化によって受け取り方が違う場合もありますが、暖かい・寒い、思い・軽い、派手・地味などは多くの人に通じるものがあります。
暖かい感じの色・寒い感じの色
下の図をぱっと見たとき、どちらの方が涼しそうに感じるでしょうか?
ほとんどの方が右と答えたのではないかと思います。
色による寒暖のイメージには、vol.1でご紹介した「色の三要素」のうち「色相」が深く関わっています。
色相とは、「赤み」とか「青み」といった色味(いろみ)のことです。
似ている色味をグラデーションになるように並べていくと環(わ)になる性質があり、これを色相環(しきそうかん)といいます。実際に中学校の授業で取り扱う、12の色味に分けた12色相環がこちらです。
この中で、
暖かみを感じる赤系の色味のことを「暖色」
寒そうに感じる青系の色味を「寒色」
といいます。
また、どちらでもない緑系、紫系の色味のことを「中性色」といいます。
12色相環で言うと、
暖色=き・きみのだいだい・あかみのだいだい・あか
寒色=あおみどり・みどりみのあお・あお・あおむらさき
中性色=きみどり・みどり・むらさき・あかむらさき
ということになります。
4色組み合わせると以下のようになります。
暖色は暖かみのある感じ、寒色は冷たい感じ、中性色には特に温度の印象はないのではないでしょうか。
ちなみに純色(その色味のなかで最も鮮やかな色)の方がよりその心理効果を感じやすくなります。
実践例
暖色・寒色の知識は日常生活でも生かすことができます。
今回は、インテリア・ファッション・デザインの観点から実践例をご紹介します。
インテリア
お家のインテリアを考える上で、暖色・寒色の知識があると快適なお部屋づくりに役立ちます。なんと、暖色の部屋と寒色の部屋では、体感温度が3℃も違うという実験結果もあるんですよ!これを上手く応用してみましょう。
暖色系のコーディネート
暖色系のお部屋は、文字通りほっこりとした温かみのある雰囲気になります。秋冬のコーディネートや、あまり陽が入らない北向きのお部屋などに取り入れると良いですね。ただし、彩度の高い(鮮やかな)暖色には、興奮作用があるので工夫が必要。リラックスしたい寝室などのお部屋には、枕など小さなアイテムでアクセントカラーとして取り入れたり、少し彩度が低い(くすんだ)ものや、明度が高い(明るい)・低い(暗い)ものをチョイスするのがおすすめです。
また、暖色は「進出色」とも言われ、手前にせり出してくる色でもあります。
壁など広い範囲に取り入れると、空間が少し狭く感じる場合もあるので注意しましょう。
寒色系のコーディネート
寒色系のお部屋は、まさにクールで落ち着いた印象。夏のお部屋のコーディネートや、西日が入るお部屋などに取り入れると快適に過ごせます。また、彩度の低い(鈍い)寒色には鎮静作用があると言われ、集中力を高めたいワークスペースや書斎などにもぴったりです。
また、寒色系は「後退色」と呼ばれ、小さく遠くに感じる特性があります。そのため、あまりスペースの取れない洗面所やトイレなどに使用すると、奥行きを感じさせることができます。
ファッション
暖色・寒色・中性色でコーディネートした場合の例がこちらです。
夏っぽいコーディネートをしてみましたが、02の寒色が何となく一番涼しそうに見えます。寒暖のイメージのほか、寒色は何となく落ち着いている感じ、暖色は元気ではつらつとした印象にも見えます。
デザイン
暖かい・情熱的で活発な印象にしたい場合は暖色を、涼しげに見せたい・落ち着いていて知的な印象を与えたい場合には寒色系を中心に配色計画を立てると効果的です。
その他にも、先ほど取り上げた進出色・後退色の特性を活かし、目線の誘導をうながすことも可能です。日常生活で目にするものを思い浮かべてみると、立ち入り禁止などの看板や三角コーンなど特に注意すべきものには黄色や赤といった暖色が使われていることが多いですよね。実際にこのような街中においても、暖色の方が視認性が高いことが分かります。
まとめ
色による寒暖のイメージは色相によって決まる
その他にも、
- 暖色=進出色(手前に迫り出して見える・目立って見える)
彩度が高いと興奮作用がある - 寒色=後退色(遠くに見える)
彩度が低いと鎮静作用がある
という特徴もありました。ファッションやインテリアといった日常生活の面で活かせる知識でもあるので、ぜひ活用してみてください!